2016-01-01から1年間の記事一覧

『日本民俗学』に拙稿の科学民俗学・妖怪論文が載ります

『日本民俗学』最新号の287号pp. 1-35に、拙稿が掲載されます(たぶん10月頭にある日本民俗学会・年会の会場でも手に取ってみることができると思います)。タイトルは「俗信、科学知識、そして俗説――カマイタチ真空説にみる否定論の伝統」です。 要旨を転載…

信念と否定論についての人類学と民俗学

カマイタチ論文に紹介した事例は、字数制限の都合上、必要最小限にとどめてあります。『明治期怪異妖怪記事資料集成』から漏れた妖怪記事、科学啓蒙誌『学びの暁』、明治20年代医学雑誌のカマイタチ論文など、これまで知られていなかった文献が中心になって…

『世間話研究』掲載論文の補足

『世間話研究』第24号(2016年5月)に、「カッパはポセイドンである 近世後期における東西妖怪比較試論」と題する拙論を掲載させていただきました(pp.20-66)。おもに蘭学周辺の文献で、日本の妖怪とヨーロッパの怪物や動物がどのように比較されていたのか…

今のところ最古の「ヌリカベ」文献

九州日日新聞 大正10年1月21日付()は読みにくい部分のフリガナ、(?)は不鮮明で判読が難しかったところです。 木倉(きのくら)の怪 楠田祥 〔一〕塗り壁 肥後の御船と木倉の平野から、東の方宗心原の臺(?)地へ上る坂路の一つに「迫路」と名づけらる…

江戸時代の「天使」と「天狗」

年末年始の調べものの一環としてメモ的に。 キリシタン文書では、天使といえば「あんじょ」、悪魔といえば「天狗」と翻訳されていたが、蘭学隆盛期に入ると、天使といえば「天狗」ということになってしまった。宗教性が除去されすぎた結果、形態論的な比較し…