2014-01-01から1年間の記事一覧

リッカルド・カポフェッロ『経験論的な驚異 幻想文学の歴史化1660-1760』

ちょっと気になる本があったので、その序論だけを翻訳してみました。 Riccardo Capoferro, 2011, Empirical wonder: Historicizing the fantastic, 1660-1760. 幽霊や怪物が経験的なものではなくなっていく過程、というか経験的なものとそうでないものとの分…

鎌鼬=真空説の初出

鎌鼬の正体が真空であるという説の初出はいつか? 今年の夏に出た別冊宝島の『日本の妖怪』(小松和彦・飯倉義之監修)では「昭和初期」と書かれている(p.70)。飯倉義之さんの2010年の論文「鎌鼬存疑」(『妖怪文化の伝統と創造』所収)では、井上円了の『妖…

妖怪論文が掲載されました・ウェブ上に公開しました

すでに2か月前の話になりますが、『現代民俗学研究』という雑誌の第6号に僕の論文が載りました。 タイトルは「妖怪の、一つではない複数の存在論―妖怪研究における存在論的前提についての批判的検討―」で、113-128ページに掲載されています。 冒頭の英文要旨…

「びしゃがつく」の出典

まえおき 柳田国男『妖怪談義』の「妖怪名彙」には、後に有名になる多くの妖怪が掲載されているが、柳田はそれぞれの妖怪のデータが何に由来するのか、必ずしも明記しなかった。小松和彦はこの点を問題視し、出典を明らかにしていくことによって柳田がどのよ…