2022-01-01から1年間の記事一覧

『妖怪の誕生』には何が書かれているのか

拙著『妖怪の誕生 超自然と怪奇的自然の存在論的歴史人類学』が、2022年5月27日、青弓社より出版されます。筑波大学に提出した博士論文をもとにしているのですが、本文を6割弱まで圧縮したうえで、新たに「くねくね」の節を追加して、さらに議論の流れを多少…

大学院教育の成果としての『妖怪の誕生』の系譜

日本の文化人類学関係者しか興味ないと思いますが、『妖怪の誕生』のもとになった博士論文の主査である内山田康・筑波大学教授(当時)が、主査として審査した博士論文が書籍化されたものは、おそらく以下のとおり。まだ書籍化されていない博論も数本ありま…

オカムロさんとは何か

5月18日、『オカムロさん』というホラー映画が公開されることが告知された。映倫審査拒否なる宣伝文句が変な意味で話題になっているが、それはともかくとして、この「オカムロさん」、「江戸時代から伝わる」という触れ込みだが、——確かにそういう伝承はある…

本が出ます(『妖怪の誕生』青弓社)

博士論文をベースにした拙著『妖怪の誕生 超自然と怪奇的自然の存在論的歴史人類学』が5月27日に青弓社より発売となります。 www.seikyusha.co.jp まだオンライン書店などでは予約できないようなので、GW終わりぐらいまではお待ちください。 税込み4400円と…

「民間信仰の古い記録によって今日の私たちは何ができるだろうか」翻訳その2

youkai.hatenablog.jp これの続き。 話者(narrator)、そして収集家の履歴 民俗資料館にあるナラティヴの話者を調査してみるのが興味深いのは確かだ。悪魔譚を知っていて、また悪魔について語ったのは、どういった人々なのだろうか。私たちは話者の名前をそ…

「民間信仰の古い記録によって今日の私たちは何ができるだろうか」翻訳その1

元論文の詳細→https://doi.org/10.1080/0015587X.2020.1733313 手短な概観 民俗資料館(folklore archives)は、過去についての資料を収蔵している。そうした資料は、概してそんなに価値がないと見なされず、たやすく記録されないままになってしまう環境から…