妄想『怪異の民俗学』第2期

お遊びです。


 

  2000年から2001年にかけて、小松和彦監修のもと出現した伝説的な論文アンソロジー、『怪異の民俗学』全8巻。
 しかし出版から20年経ち、怪異・妖怪研究も大きく様変わりした。新たなトピックが展開する一方で、埋もれた研究も発掘が続けられている。今、ここに『怪異の民俗学』第2期全8巻が立ち上がる――。

第1巻 狐狸

資料の量としてもっとも多い怪異・妖怪は「狐狸」である。人と動物の関係性をめぐって繰り広げられた諸論考。

早川孝太郎(1916)「おとら狐の話」
今野圓輔(1981)「ユーモラスなケモノたち」(『日本怪談集 妖怪編』より)
野村純一(1995)「眷属列伝の意図」(『日本の世間話』より)
ほか

第2巻 魔物とお化け

「魔物」や「お化け」といったカテゴリーは、独特な名称も特徴も持たないが、狐狸と同じく幅広く伝わっている。人々の世界観やそのバリエーションを抉り出す議論を一望。

和歌森太郎(1959)「日本の民衆における悪魔」
谷川健一(1971)「怨念の序章」(『魔の系譜』より)
大野寿子、松岡芳恵(2010)「日本の近世文芸における「魔」の系譜 翻訳語「魔女」成立への架け橋として」
ほか

第3巻 幻獣

竜とは、ヌシとは何か。肉体性・動物性の強い怪物は、21世紀に入り「幻獣」と呼ばれるようになる。近年盛んな「予言獣」論も収める。

南方熊楠(1916)「田原藤太竜宮入りの話」(『十二支考』より)
C・アウエハント(1964)「破壊者‐救済者としての鯰」(『鯰絵 民俗的想像力の世界』より)
湯本豪一(2003)「予言する幻獣 アマビコを中心に」
ほか

第4巻 異界・他界

境界を越えた向こうには何があるのか。私たちは再び「異界」に参入しなければならない。地理学、社会学などの成果も踏まえ、新たな異界論の出発点を提供する。

村岡典嗣(1915)「復古神道に於ける幽冥観の変遷」
内田忠賢(1990)「江戸人の不思議の場所 その人文主義地理学的考察」
池原陽斉(2013)「異界の諸相 語誌の展開をめぐって」
ほか

第5巻 俗信と科学

怪異・妖怪研究は人文科学と自然科学に分けられる。本書は、自然科学的研究や、表裏一体にある俗信研究をまとめる。

寺田寅彦(1929)「化物の進化」
井ノ口章次(1975)「俗信の概念」(『日本の俗信』より)
門脇大(2018)「怪火の究明 人魂・火の化物」
ほか

第6巻 都市伝説

口裂け女、ブルンヴァン。うわさ、学校の怪談。怪談実話、ネットの怖い話、心霊動画。先端を行く議論を展望。

小松和彦(1986)「口裂け女の意味論」(『鬼の玉手箱』より)
常光徹(1993)「現代の〈はなし〉」(『学校の怪談 口承文芸の展開と諸相』より)
飯倉義之(2016)「怪談の文法を求めて 怪談実話/実話怪談の民話的構造の分析」
ほか

第7巻 学史と学説

妖怪学はどのように構築され、再構築されてきたのか。円了批判から存在論的転回まで、この一冊で全体を捉える。

柳田國男(1932)「盆過ぎメドチ談」(『妖怪談義』より)
粕三平(1973)「お化け図絵 ザレとモドキの伝統」(『お化け図絵』より)
梅屋潔(1998)「妖怪異人
ほか

第8巻 海外から

日本語以外で書かれた重要文献を紹介する。全編初邦訳。

チャールズ・フォンデス(1875)「迷信」(『扶桑耳袋』より)
マイケル・ディラン・フォスター(1998)「カッパの変容 日本におけるフォークロアからフォークロリズムへの変化」
アヤコ・ヨシムラ(2015)「信じる、でも信じない 日本における金縛りのネイティヴ民俗誌」
ほか


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