2013-03-01から1ヶ月間の記事一覧

勘太郎火と勘五郎火

村上健司の『妖怪事典』には載っていないが、柳田国男の「妖怪名彙」にはひっそりと「勘太郎火」という妖怪が紹介されている(『全国妖怪事典』や『綜合日本民俗語彙』には載っている)。 オサビ 日向の延岡附近の三角池という池では、雨の降る晩には筬火と…

有漢のスネコスリ

『妖怪談義』などのスネコスリについてはこちらを参照。そちらに挙げた以外では『井原市史 民俗編』2001にスネコスリの話が載っていると化野燐が『怪』18で紹介しているが、これはまだ紹介されていないようだ。 狸のしわざと言われる股くぐり・脛こすりとい…

シバカキの原文(小ネタ)

『新訂 妖怪談義』の「シバカキ」 夜分に路傍で石を投げる怪物だという(玉名)。p.248 それに対する小松和彦の注(同書) 「玉名」が指示する出典不明。能田太郎「肥後南ノ関方言類語集 体言編」『方言と土俗』(第三巻第三号、一言社、一九三二年)に、「…

オラビソウケは存在しない

前回のあらすじ:柳田國男『新訂 妖怪談義』では、柳田が曖昧にしていた妖怪情報の出典を小松和彦が徹底的に調べて明らかにしている。それでも不明なものは多い。しかしじっくりと伝承地域とそこをフィールドワークした研究者を追っていけば、もしかしたら出…

googleで見つかる白坊主の出典

2013年1月に柳田国男の『新訂 妖怪談義』が角川ソフィア文庫から出た。これは人類学者の小松和彦が、柳田が不十分にしか示さなかった出典や当時の事情などに細かく注釈をつけたもので、その意味も込めて「新訂」がタイトルに付されている。 なかでも小松が力…

追記:なぜ「妖怪名彙」に『現行全国妖怪辞典』がないのか

要約:柳田國男が「妖怪名彙」を書いたとき、佐藤清明の『現行全国妖怪辞典』を参照したのは明らかなのに、柳田はそのことにまったく触れていない。しかし、二人には方言カードを介した交流があった。そうすると、柳田が佐藤の方言カードを直接参照して「名…