妖怪と、人類学的な雑記

筑波大学の廣田龍平です。被災地研究・妖怪研究を人類学・民俗学的な方向からやっています。

有漢のスネコスリ

『妖怪談義』などのスネコスリについてはこちらを参照。そちらに挙げた以外では『井原市史 民俗編』2001にスネコスリの話が載っていると化野燐が『怪』18で紹介しているが、これはまだ紹介されていないようだ。

狸のしわざと言われる股くぐり・脛こすりということがあって、村落間の小道にこの怪物がよく出ると言われる場所があって、人々は夜そこを通ることを恐れて避けたものである。
股くぐりというのは、夜そこを通っていると何物かの怪物がさっと通行人の股をくぐる。一度でなく歩いていると二度も三度もくぐるのである。
脛こすりというのは、同じように脛をこすって通り、またくりかえして脛をこする。そんなことからこの怪物の出ると言われた所は、夜の通行を極度に恐れたものである。
この怪物の出る所としては、上金倉から石寺に通ずる大石坂・下金倉から川関に通ずる槌が峠がそれだといわれている。
(中略)
股くぐり脛こすりは明治中期まで言われていたが、以後次第に人々の口にのぼらなくなった。p.336-337

有漢町文化財保護委員会編『有漢の民俗』1980。猫だの犬だの言われているスネコスリが、ここでは狸の仕業と明言されているのが面白い(大抵の怪異は狐狸の仕業とされることが多いにしても)。
有漢町は岡山県上房郡にあった町で、現在は高梁市の一部になっている。