妖怪と、人類学的な雑記

筑波大学の廣田龍平です。被災地研究・妖怪研究を人類学・民俗学的な方向からやっています。

シバカキの原文(小ネタ)

『新訂 妖怪談義』の「シバカキ」

夜分に路傍で石を投げる怪物だという(玉名)。p.248

それに対する小松和彦の注(同書)

「玉名」が指示する出典不明。能田太郎「肥後南ノ関方言類語集 体言編」『方言と土俗』(第三巻第三号、一言社、一九三二年)に、「シバカキ 夜路傍で石を投じる怪物」とある。p.273

「玉名」は南関町のある熊本県玉名郡のことであろう。
念のため『方言と土俗』を確認してみる。

シバカキ 夜路傍で石を投ぐる怪物。p.78

確かに原文はガリ版で「じ」と「ぐ」の区別が難しいが、他の明らかに「し」や「く」とわかる文字と比較すると、ここは「投る」ではなく「投る」が正しいということがわかる。だからといって何か新しいことがわかるわけではないが。だから、小ネタ。
この論文、同じく「妖怪名彙」に紹介されているテンピの他には「ガーッパ ガツパとも。河童」(p.75)程度しか妖怪は載っていなかった。