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妖怪と、人類学的な雑記

筑波大学の廣田龍平です。被災地研究・妖怪研究を人類学・民俗学的な方向からやっています。

納戸婆のバリエーションの多さ。

久しぶりに書いてみる。妖怪辞典に進展があったので。

数日前に妖怪辞典の担当の方からメールが来て、ようやく校正されたものが送られてくるとのこと。当初の予定では9月ごろには出版予定だったはずなのだが、辞典というのは原則として出版が常に遅れるものらしい。そりゃ多数の人が手掛けるのなら、百人のうち一人でも書き終わらないだけで完成しないのだから当然である。すでに半年以上遅れているので、出版はどう考えても来年か、再来年くらいになりそう。
とはいえ、そのおかげで「妖怪辞典・補遺」を反映できそうなのがありがたい。ネロハについてはスペースの関係もあって手を付けずに終わってしまいそうだが、数項目についてはなんとしても直さなければならないことを発見してしまったのだ。おそらく今後妖怪を研究する時のリファレンスになるのだから、些細な見逃しもしてはならない。もちろん、スペースに限度はあるので、全部を網羅することは到底無理なのだが。
それにしても「納戸婆」って案外呼称にバリエーションがあるみたい。これまで見つけただけでもナンドババ、ナンドババア、ナンドバァサ、ナンドバジョ、ナンドババサ、ナンドバッバ、ナンドバアサン! 異称とそれに付随する伝承をすべて網羅するのは悲しい哉、不可能である。となると、これもやはりたいして直せないのかもしれない。下っ端執筆者はしょせんこんなもんだ。
それと、僕が担当したある項目はけっこう気合い入れて事例を探しています。従来日本では見られないとされていた「妖怪」ですが、それなりにあるようなのです。この件については従来の類書を短い記述で凌駕することになるでしょう(逆に言えば、その程度なんだけど)。ただ、これもスペースの関係ですべてを網羅することはできない。出版後にその妖怪に言及する文章があって、「この辞典では見落とされているが、次のような興味深い事例がある」とか書かれてしまったらなんとも言えない気持ちになりそう。自意識過剰。